idea factory from newspaper 2003 12 14
損得勘定(profit-and-loss arithmetic)
最近は、アメリカを悪く言う人が多いが、
私は、そうは思っていない。
イラク戦争をめぐって、冷静に損得勘定をした人たちがいるはずです。
開戦前には、レニングラードの戦いのような、
バグダッドの市街地戦があるのではないかと予想した人たちもいた。
しかし、サダム・フセインは、そういう戦い方はしない。
バグダッドで市街地戦をやれば、戦争が終わっても、
イラクは、二度と立ち上がれないダメージを受けてしまう。
だから、サダム・フセインは、レニングラードの戦いよりも、
イラク全土を、ベトナム戦争のようにするだろう。
銃の所有が文化みたいな国であるイラクでは、そういう戦いの方がよい。
この結果、どうなるか。
アメリカは、ベトナム戦争の時のように、徐々に体力を減らしていくだろう。
「経常赤字」と「財政赤字」、
これに、「イラクでの赤字」が加われば、アメリカの致命傷になるだろう。
そうすると、アメリカの体力が衰えた時、得をする国はどこか。
そう考えれば、戦争の機運が高まれば、アメリカ人は単純であるから、
アメリカは、すぐ戦争に乗ってくるのではないか。
こんなふうに、冷徹に計算した人たちが、いるはずである。
こういう人たちに比べれば、
アメリカは、お人好しだと思います。
アメリカは、あまり損得勘定をしない国だと思います。
どちらかというと、「義」のために戦う。
そういう国だと思います。
この「義」というのは、キリスト教とユダヤ教が融合した国でないと、
わかりにくい概念だと思います。
キリスト教とユダヤ教を知らない日本人には、理解できないと思います。
無宗教の日本人は、何の哲学もなく、何の行動基準もなく、
世界の大波に漂う。そんな感じがします。