衆愚政治 mobocracy 2003 8 29
今の時代は、残念ながら、
古代ギリシャにあった「衆愚政治と僭主の時代」になったかもしれない。
あまりに低い投票率、これは、民主主義を否定することになる。
たとえば、投票率30%で当選しても、残り70%の有権者は支持していない現実があり、
これで、独裁的な権力を持てば、古代ギリシャに出現した僭主そのものである。
また、政治家の能力にも大いに問題がある。
議会での質問を官僚に作らせ、議会での答弁を官僚に作らせ、
自分のあいさつ文も官僚に作らせ、コメントすら官僚に作らせている。
しかし、権力を持っている。
これは、僭主という独裁権力者以外の何者でもない。
しかし、このような無能でも権力がある政治家を当選させてきたのは、
有権者である。
今の時代、政治家が俳優になっている。
俳優とは、シナリオライターが書いた台詞を正確に覚えて、
いかに、うまく演技して、聴衆に感動を与えられるかが、俳優の能力である。
今の政治家は、俳優と、どこが違うのか。同じである。
シナリオライターが官僚に代わっただけである。
テレビもなく、ポスターもなく、官僚もなく、
自分の言葉だけで、自分の政策だけで当選できる政治家が何人いるのか。
テレビ写りを気にし、ポスター写りを気にする政治家は、俳優そのものである。
これでは、政治家は俳優になれるし、俳優は政治家になれる。
しかし、これは、愚かな政治ではないか。
民主主義とは、討論と説得である。
一部の権力者が方針を決定している今の政治が、民主主義の最大の敵である。
この政治手法こそ、民主主義の堕落を招いた。