風が吹けば 2008 4 19

書名 金融偽装 米国発金融テクニックの崩壊
著者 伊藤 博敏  講談社

 いつごろからだったのでしょうか。
昔は、経済の話をするのに、「億」という単位で済んでいたのに、
いつの間にか、よく「兆」という単位が使われるようになってしまいました。
そして、今や「兆」では足りなくて、「京」という単位が使われるようになっています。
 それは、金融工学、あるいはデリバティブという「新技術?」によって、
金融で使う貨幣単位に、ビッグバンのように急激な膨張が起きたのです。
(だから、いつかは収縮する運命だったのです)
 さて、話を変えましょう。
BIS規制が、サブプライム危機を招いたのかもしれません。
(以下、引用)
「BIS規制がもたらしたのが証券化である。
不動産やローン債権などの資産を有価証券にして、バランスシートから切り離す。
 BIS規制は分子が自己資本で分母が資産である。
資産といっても資産の種別やリスクによって数値は変わるのだが、
何はともあれ資産は持っていないほうが、
自己資本比率は向上、健全と見なされる。
 日本より早く金融自由化を進めた米国は、
鍛えられた金融技術で住宅ローン債権などを証券化していった。
・・・・・
 銀行はBIS規制によってオフバランスにしなければ、次の営業活動ができないし、
事業会社はバランスシートのスリム化で資本効率を上げることが一般的。
 どちらにしても経済システムが証券化を前提に回る形になった。
これがうまく回転すれば、こんなに望ましいことはない金融システムである。
・・・・・
 ところが証券化は、リスク分散という名の責任の押し付け合いである。
現実から目を背けて陶酔したバブルの時代でも、
仕事や収入のない人にまでローンを組ませる危険性はわかっていたはずで、
リスク分散のなかに銀行はモラルを忘れた。
(以上、引用)
「風が吹けば桶屋が儲かる」という、古い「ことわざ」があります。
これは、風が吹くと、
砂ぼこりが舞い上がり、
盲人が増え、
盲人は三味線をひくので、
それに張る猫の皮が必要となり、
そのため、猫が減り、
ネズミが増えて、桶をかじるで、
桶屋が繁盛するという意味です。
 いつごろからだったのでしょうか。
「金融の基本は信用である」という言葉が廃れたのは。
金融業は、社会から信用を得てこそ成り立つ商売なのに、
信用を捨て、モラルを捨て、拝金主義に走ってしまった。
「偽りの道を歩む者には、偽りの報酬が与えられる」(イエスキリスト)





















































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