素材力 2009 10 4

書名 ニッポンの素材力
著者 泉谷 渉  東洋経済新報社

 日本の主な輸出商品というと、何を連想するでしょうか。
自動車にテレビ、あるいはデジカメでしょうか。
実は、これは、間違いです。
 このような完成品、つまり消費者が購入する商品は、
専門的な用語では「消費財」と言いますが、
こうした「消費財」が日本の輸出に占めるの割合は、
皆さんが思っているよりも、かなり低いのです。
 テレビや新聞で、輸出というと、自動車の写真ばかり流すので、
誤ったイメージが、多くの国民に染み付いてしまったのかもしれません。
 日本の主な輸出商品は、実は「資本財」です。
一般の人には、資本財というと、わかりにくいかもしれません。
なぜならば、資本財というというものは、企業が購入するものだからです。
ここでは、外国の企業が購入するものということになります。
 具体的には、資本財とは、どのようなものか。
それは、工業用原料や工作機械などです。
 このようなものを、外国の企業が、日本企業から買っているのです。
これが、日本の主な輸出品目と言ってよいでしょう。
 だから、外国企業が、不景気で、
生産縮小を行ったり、設備投資をやめたりすると、日本企業に影響が出るのです。
これで、日本の「輸出風景」がわかりやすくなったと思います。
 さて、今回は、日本企業が外国企業に売る商品、
あるいは将来性のある商品について書いてある本を紹介します。
それが、「ニッポンの素材力」です。
 この本で印象に残ったことは、
出光興産という会社には、
日本企業が失ってしまった「よき社風」が、まだ残っているということです。
 出光興産というと、石油会社を連想しますが、
将来的には、業種が、まったく違う会社になってしまうかもしれません。
未来の人たちは、「この会社が、昔、石油会社だったとは、意外だ」と
思うようになるかもしれません。
社名に「石油」が入っていないからでしょう。
 それから、マグネシウムでしょうか。
熊本大学が開発したマグネシウム合金は画期的な素材になるかもしれません。
将来、自動車や飛行機が、このマグネシウム合金で作られるようになると、
世界経済に大きな影響が出てくるでしょう。
 このような画期的な技術が、地方大学で開発されたのは驚きです。
地方には、日本の未来を背負う技術者が数多く埋もれているかもしれません。
 だから、地方は、狐や狸しか通らない道路を作っている場合ではありません。
それから、鳥はたくさんいるが、相変わらず閑古鳥が鳴く空港。
そんなものに夢中になっているから、
日本の未来を背負う「宝」が埋もれてしまうか、埋もれつつあるかもしれません。
 もうひとつ言うならば、目の前に、画期的な技術を持つ会社があるのに、
それに融資しないで、国債投資に夢中になっている銀行。




















































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