アメリカ人民共和国 2009 5 5

 もちろん、「アメリカ人民共和国」という国はありません。
昔は、「アメリカ合衆国」と言いました。
 思い起こせば、
1917年のロシア革命で、多くの企業が国有化され、
1959年のキューバ革命でも、国有化がありました。
 最近では、2008年、アメリカで、
住宅金融会社が国有化され、
続いて、AIGも国有化され、
さらに、シティグループも実質的に国有化されました。
(こちらは、「国営化」かもしれません。どちらにしても似たようなものです)
ついでに、自動車会社も国有化するかもしれません。
 こう書くと、アメリカ人は、反論するかもしれません。
「ロシアやキューバと、一緒にするな。
我々の国は社会主義国になったわけではない。
放漫経営の結果、いや金融危機によって、
やむなく国有化せざるを得なかったのだ」と。
 こんなことは、何の自慢にもなりません。
むしろ、ロシアやキューバよりも悪いと言えるかもしれません。
 ロシアやキューバでは、まともに経営していた企業が、
ある日、突然、
社会主義革命によって、国有化されてしまったのです。
決して、放漫経営の結果、国有化されたのではありません。
 広瀬隆氏は、著書の中で、こう書いています。
「経営に失敗したら、倒産する。
それが資本主義のルール。
『大きすぎて、つぶせない』という理屈が通るならば、
大企業は、どのような放漫経営をしてもよいという道理となる」
 経営に失敗したら、倒産する。
確かに、そのとおりですが、
その大企業が、銀行である場合は、そういうわけにいかないのです。
金融システムが崩壊します。
これが抽象的な言い方ならば、決済システムが崩壊すると言い換えましょう。
しかも、基軸通貨の決済システムが崩壊する可能性があったのです。
そういうわけで、単純に資本主義のルールを適用するわけにいかないのです。
 かつて、アメリカの学者は、
皮肉を込めて、保護行政の日本を、
「社会主義国で、唯一、成功した国は、日本だ」と言っていましたが、
今後は、このように言われるようになるでしょう。
「社会主義国で成功した国は、日本のほかに、アメリカも続いた」と。
 書名 資本主義崩壊の首謀者たち
 著者 広瀬 隆  集英社新書
















































トップページへ戻る