安全保障 2008 6 14
今世紀に入ってから、アメリカの安全保障について、いろいろな話が出ましたね。
大規模なテロが、アメリカを崩壊させてしまうのではないかという恐怖感。
ドル暴落が、アメリカ経済の崩壊を招くという経済的な恐怖感。
投資家ならば、株式市場の暴落でしょうか。
ちょっと専門的な話になりますが、
長期金利の急上昇がアメリカ経済を破壊してしまうのではないかという恐怖感。
しかし、どれも恐怖感はあっても、実際には起きなかったのです。
これは、誰も予想しなかったことですが、
WTIが、アメリカ経済を、つまりアメリカを破壊してしまう。
そんなに恐怖感はありませんが、現実に起きていることでしょう。
後世の歴史家は、
「WTIが、アメリカの致命傷になった。アメリカの息の根を止めた」と書くかもしれません。
「帝国は、外からの攻撃ではなく、内部からの攻撃によって崩壊した」と。
ナスダックの日足チャートは、ダウと違って、
チャートの形が、よい形で上昇を続けていましたが、
原油先物相場の急騰という奇襲攻撃によって、破壊され、
チャートの形が崩れてしまいました。
もちろん、原油先物相場の急騰は、株式市場だけでなく、
アメリカの国民生活を苦しめ、さらに経済政策も金融政策も無力化させているでしょう。
帝国の崩壊の原因は、
戦争でもなく、テロでもなく、ドル暴落でもなく、WTIだった。
原油先物相場 2008 6 7
値動きが軽すぎる。
ニュースで、原油先物相場(WTI)は、
ドル安や、イランの核開発問題をめぐる緊張の高まりで、
一時、140ドル付近まで急騰しました。
最近は、120ドル台の値動きとなっていましたので、
「突然、急騰」という感じに近いでしょう。
ドル安の問題も、イランの核開発問題をめぐる緊張も、
何度も形を変えて報道される話題で、真新しいものではありません。
それにしても、WTIは値動きが軽すぎると思います。
株式市場で言えば、まるで小型株のような動きです。
もっとも、巨大な資金が動く株式市場に比べれば、
実際に、WTIは、小型株のようなものでしょう。
こうした問題に対して、私は解決策を提案しましたが、
アメリカは、静観の姿勢でしょうか。
原油価格 2008 5 24
高騰する原油価格。
こうした問題を産油国に問う傾向がありますが、
これは、はっきり言って、誤りです。
問題は、産油国にはなく、アメリカにあります。
今のところ、原油の需給には、問題ないのです。
アメリカと言ってもわかりにくいかもしれませんので、
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が問題と言ったほうがよいでしょう。
世界の原油相場をリードするWTI。
そのWTIに、投機資金どころか長期資金まで流れ込んでいる現状があるのです。
こうした問題に対して、私は「通過点 2008 4 12」で解決策を書きました。
これに対して、「金持ち優遇だ」という批判がありますが、
こうした議論は、世の中の仕組みを知らない高校生レベルの議論です。
世界に存在する巨額の投機資金。
こうした巨額の投機資金の一部が、
株式市場から、原油を含めて商品市場に流れ出したら、どうなるか。
それは、誰でも想像できるでしょう。
この際、冷静に考えてほしいのです。
株式市場が、いくら高騰しても、誰も困らないのです。
しかし、原油を含めて商品市場が高騰したら全員が困るのです。
世界経済の活動において、
自然発生的に巨額の投機資金が発生していくのは、避けられない現実です。
こうした巨額の投機資金を、どうコントロールするかを考えるのが大人でしょう。