心理学 2008 12 6

 一般的に、経済学者は、心理学に疎いでしょう。
しかし、現実には、経済学に心理学は必要です。
 それが経済学的には正しくても、結果が予想外のものとなる。
これは、市場の失敗ではなく、経済学の失敗です。
 市場参加者が、すべてコンピューターならば、
つまり、合理的経済人ならば、
経済学者が予想したとおりの結果となるでしょう。
 「リーマンブラザーズの破綻は、やむを得ない」と、
合理的な判断をしたのでしょうが、
結果は、悲惨なものとなりました。
 「次は、どこか」という恐怖心理が、市場を支配し続け、
その恐怖心理が収まるまで、市場の大きな振幅は続いたのです。
 別の言い方をしましょう。
戦場で、ゲリラ戦となってしまったら、どうなるか。
こうなると、正規軍の兵士は、恐怖心で兵力が低下してしまいます。
いつゲリラが襲ってくるか予想もできないので、
恐怖心が、頭の中を支配してしまいます。
 理論的に考えれば、最新鋭兵器で武装していますので、
そんなに怯える必要はないのですが、
自分が作り出す恐怖心によって、実質的に兵力が減少してしまいます。
そういうわけで、ゲリラ戦を戦うには、5倍から10倍の兵力が必要です。
戦争理論と実戦は違うのです。
 こういうことは、経済学と市場についても言えることです。
市場を経済学の実験場にしてはいけません。

書評 book review 「行動経済学」 2007 2 18

書名 行動経済学  著者 友野 典男  出版社 光文社新書

「我々は、合理的経済人か?」
「いや違う」と思います。
最も合理的な経済人とされる「投資家」ですら、合理的ではありません。
(問い)「なぜ、B社ではなく、A社の株を買うのか。
     B社の方が、好業績で割安というデータがある」
(答え1)「いや、B社では、あまりに地味だから」
(答え2)「いや、B社では、新鮮味がない」
(答え3)「確かに、A社は、PERもPBRも高い。しかし、A社は、イメージがいい」
ところが、有名アナリストが、B社を推薦すると、B社が人気株となってしまう。
 株式市場には、経済の変動とは関係なく、万年割安株があります。
そんな株を、うっかり買ってしまったら、さあ大変です。
世の中、バブルで株価が急上昇しているのに、その株は、低空飛行を続ける。
後は、有名アナリストが、その株を推薦してくれるのを待つしかないのです。
それが、何年後になるか、何十年後になるか・・・・・。
 「行動経済学」という本では、
経済は「感情」で動いているとし、
「人は合理的である」とする伝統経済学の理論は本当か、
現実の人間の行動は、もっと複雑ではないかを検証し、
経済学に、新たな領域を築いていくものです。
 私は、こう考えています。
「行動経済学が、21世紀の経済学となる」
















































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