書評 book review 「官僚たちの夏」 2007 3 24

 いつだったか、もう、だいぶ昔のことですが、
城山三郎氏の「官僚たちの夏」を読んだことがあります。
 今は、この小説に登場するような、
「国士」とも言える官僚たちは、少なくなってしまったかもしれません。
 最近の官僚は、
基本中の基本である「国民のために働く」「日本国のために働く」という、
肝心なことを忘れてしまったようにも思えます。
 それでも、数年前まで、よく書いていた「官僚批判」を、なぜ、やめたのか。
それは、大局的な見地から、国益を損なうと判断したからです。
 優秀な若者が、官僚に魅力を感じなくなり、
みんな外資系企業に流れてしまう事態になったら、どうなるか。
これは、明らかに国益を損なうと思います。
 もちろん、政治家がしっかりしていれば、問題ないのですが、
現在の政治家は、アナウンサー状態(下記を参照)となっています。
 こうなると、やはり頼りにできるのは、官僚となります。
(今の政治家は、せいぜい半年後か1年後ぐらいのことしか考えられないでしょう。
今を乗り切ることで精一杯で、長期的な構想を考えている余裕がないでしょう)
そういうわけで、安易な「官僚批判」を、やめたのです。
 官僚たちの「春」は来るか。
それは、「国士」と言える官僚の出現にかかっていると思います。
「国士」
一身をかえりみず、国家のことを心配して行動する人物(広辞苑)。

アナウンサー announcer 2003 9 19
 アナウンサーとは、用意された原稿を読む人のことです。
しかし、日本の大臣も、アナウンサーです。
 まず、大臣就任あいさつ。
これは、実は、ある程度、官僚が事前に作成して用意してあります。
もちろん、能力がある人は、
官僚が用意した「大臣就任あいさつ」は、必要ありません。
 次に、大臣の「談話」や「コメント」も、基本的に、官僚が作成しています。
 さらに、国会答弁。
これも、官僚が、事前に答弁書を作成して、用意してあります。
 なぜ、事前に答弁書が作れるかというと、
国会での質問者は、何日も前から、事前にわかっているのです。
 だから、若手官僚が、質問する予定の議員のところへ行って、
事前に質問内容を聞いてくるのです。
 ここは、野党議員も、癒着していますので、
質問内容を、事前に官僚に教えてくれます。
 そこで、教えてもらった質問内容を、官僚は省内に持ち帰って、
答弁書を作成するのです。
 詳しくは知りませんが、
課長補佐あたりが、答弁書の原案を書いて、課長と協議して、
最終的には、局長に目を通してもらうのかもしれません。
そして、答弁書が完成したら、大臣に手渡すというシステムです。
 何日か後の国会で、予定された質問を、
野党議員が、予定どおり行い、
大臣は、事前に用意された答弁書を読むという「芝居」です。
 大臣、官僚、野党議員と長年に渡る「癒着構造」です。
たまに、意地悪な野党議員がいて、
事前に教えた質問とは違う質問をする時があります。
 こういう時は、大臣は立ち往生して、
後ろに控えている局長に助けを求めるのです。
 また、何かの記念式典で、
大臣が、よく、あいさつをしますが、
この「あいさつ文」も、官僚が事前に作成したものです。
 極端な話、誰でも、大臣はできます。
サラリーマンでも、自営業者でもできます。
(実は、同じ構造が、地方議会でもあります)。















































トップページへ戻る