振り子 2011 5 5

左に寄り過ぎれば、右に戻る。

書名 いまアメリカで起きている本当のこと
著者 日高 義樹 PHP

 私は、日高氏の著書をたいてい読んでいますが、
今まで読んだ本のなかで、この本は、最も論点が多いと思います。
 とりあえず、気になった点を引用しましょう。
「オバマ大統領登場後の二年間に、中国は驚くほど傲慢になった。
中国がアメリカに挑戦的な態度を取るようになった背景には、
中国共産党の影響力の低下と人民解放軍の勢力拡大がある。
中国ではアメリカ派と呼ばれてきた胡錦濤主席をはじめとする共産党勢力が弱くなり、
ナショナリスティックで排他的な人民解放軍の勢力が強大になりつつある」
 これは、私も、ここ数年強く感じてきたことで、
胡錦濤指導部を強く心配していました。
「アメリカ政府は、普天間は日本の国内問題だと考えている。
自民党前政権との約束を民主党政権が勝手に破ったことに対して強い不快感を抱き、
不満に思っているが、それほど深刻には考えていない。
だが民主党政権が核兵器の持ち込みに反対し、
秘密協定を暴露してしまったことには、心底ハラを立てている。
『日本の民主党政権がいったい何を考えているのか、まるでわからない。
アメリカの核兵器に反対するのであれば、
独自の核兵器を持つのか、
あるいは核兵器の扱いについてアメリカ政府と改めて話し合いをするのか、
さらには中国の傘の下に入るつもりなのか。
あるいは全く何の考えもなく反対しているだけなのか』とハドソン研究所の同僚が言った」
 この疑問については、おそらく一番最後が正解だと思います。
風のうわさでは、「政権交代した高揚感から、つい過言があった。
特に戦略構想などなかった」ようなことを聞いたことがあります。
 「ワシントンの消息筋の話を総合すると、
TPPは、反米的な姿勢をとる民主党政権がアジア諸国をまとめようとしているのを阻止し、
アメリカが主導する地域協定を作って日本を抑えようとする意図が明らかである。
日本の民主党が、アメリカの核の傘に守られて日本が経済大国になったことを忘れ、
何の具体的な構想もなく『アメリカとの関係を変える』『核の傘は要らない』と言ったために、
アメリカにTPPを作らせることになってしまった。
菅首相は、農業団体からの強い反対の中で、
TPPにどうやって参加するかという新たな問題を抱え込むことになったが、
自業自得と言うほかはない」
 アメリカは、大人気ないと思います。
日本の民主党政権が、何の具体的な構想もなく、
「アメリカとの関係を変える」「核の傘は要らない」と言ったことに対して、
アメリカは怒っているようですが、
これは、「政権交代した高揚感から、つい過言」というタイプの失言だったと思います。
これに対しては、大目に見るというのが、大人の態度だと思います。
「日本の核武装にアメリカは反対しない」
「日本の民主党政権の露骨な反米政策に直面して、
『アメリカが日本の安全を維持するために、
一方的に核の傘を提供しているのは無駄だ』という思いが強くなっている」
「シュレジンジャー元国防長官が、こう言った。
『日本は平和憲法をどうするか考える以前に、核について考えるべきだ。
本当にアメリカの核の傘が要らないのか、
自前で核兵器を作るつもりなのか」
「キッシンジャー博士もこう言った。
『日本のような大国が、自前の核兵器を作らずに、
いつまでも、よその国に頼っているのは不思議だ』」
 結果的には、日本の民主党政権が日本の核武装を推進することになるかもしれません。
「日本の安全保障をアメリカの核の傘に依存した自民党政治を変える」と言った民主党政権が続く限り、
結果的には、将来、そういう結果が出てくるでしょう。
迷走を続けた挙句、結果的に、核兵器を持つフランスのような国防政策になるかもしれません。
 さて、話題は、変わります。
「アメリカは、『金本位制』に動いている」
これは、「アメリカ政府が」ではなく、「アメリカ国民が」だと思います。
「いま世界的に金が値上がりしているが、
専門家の多くは、中国の人々やほかの開発途上国の人々が通貨を信用せず、
金で財産を維持しようとするために値段が上がっているとしている。
 だが金の値上がりの大きな原因はアメリカにある。
アメリカでは、中国や発展途上国と比べて、
資産の規模が比較にならないほど大きい。
しかも、最近になって、連邦政府とドルに対する危機感が高まっているため、
金を求める人が多くなっているのだ」
「アメリカ人はドル離れして金を集めている」

日本の行く道 2011 1 9

書名 日米同盟vs.中国・北朝鮮
著者 リチャード・L・アーミテージ ジョセフ・S・ナイJr 春原 剛

 まずは、この本から引用で始めましょう(以下、引用)。
ナイ教授は、かつて日米同盟と日本の将来について、
次のような言葉を残している。
「日本には三つの選択肢がある。
日米同盟の堅持・強化、
フランスのような自主独立路線、
あるいは21世紀の大国となる中国の属国化だ」
(以上、引用)
 今日は、日本とフランスの違いを見てみましょう。
フランスにあって、日本にないものは何か。
フランスは、核武装しているということです。
次に、軍事予算が違います。
対GDPで比較すると、フランスは日本の2倍以上となっています。
金額ベースで見ても、フランスは日本を大きく上回っています。
こうしてみると、フランスは軍事大国と言えるでしょう。
 それでは、永世中立国のスイスは、どうか。
対GDPで比較すると、日本と同じくらいでしょう。
金額ベースで見ると、スイスは、さすがに少ないと言えるでしょう。
しかし、スイスは、欧州において、
軍事力によって永世中立を貫いてきた歴史があります。
スイスは、徴兵制を採用しており、男性には兵役の義務があるのです。
多くの日本人は、スイスというと、観光国家を連想するでしょうが、
実は、スイスの国土には、至る所に軍事施設が存在します。
 次に、日本人がよく口にする国連は、どうか。
日本にとって、国連は、幻想に過ぎないでしょう。
国連軍は、中小の国は助けるでしょうが、
日本のような大国を助けることはしないでしょう。
 そもそも、国連は、イラク戦争をめぐって機能停止の状態になりました。
最近では、北朝鮮をめぐって、たびたび機能停止しています。
日本は巨額の国連拠出金を払っていながら、
まるで役に立っていないというのが現状でしょう。
日本人は真面目で、おとなしいから、国連に対して何も言いませんが、
普通だったら、「金、返せ」と言いたくなるところでしょう。
 国連の加盟国は、どんな国が多いか知っていますか。
加盟国を全部見渡せば、独裁国家や強権国家が多いことに気づくでしょう。
だから、国連は、独裁国家や強権国家に対して弱腰にならざるを得ないと言えます。
 最近、日本では、このような「厳しい国際情勢」に気づいて、
「やはり、日米同盟の堅持・強化の方がよい」という雰囲気に戻ってきました。
 日本は、平和国家だと思います。
日本国内には、核兵器の材料が大量にあり、
さらに技術力があり、資金力もあり、その上、ロケット技術があります。
これで日本が核大国にならないのが不思議なくらいでしょう。
これは「世界の七不思議」と言えるかもしません。















































トップページへ戻る