資金源 2008 11 30
書名 「大恐慌」以後の世界
著者 浜田 和幸 光文社ペーパーバックス
浜田氏の本を取り上げるのは、久しぶりです。
2004年8月3日の書評「黒いホワイトハウス」以来でしょうか。
さて、本題に入りましょう。
海の向こうで起きたサブプライム問題、その後の金融危機。
それを他人事のように眺めている日本人。
しかし、この危機の原因は、日本にも大いに関係する話である、
あるいは、日本が資金源だったと書くと、驚くでしょうか。
(以下、引用)
ゼロ金利の「円」が、カジノ経済の元手
金融ビジネスの立ち遅れで、今回は、なんとか難を逃れた日本だが、
実は、日本人のお金が、ヘッジファンドの種銭になっていたことを、
われわれ日本人は自覚しておく必要があるだろう。
(途中、省略)
グローバル化が進んだ世界経済において、
金利ゼロのマネーが存在するということは、
予想もしない事態を引き起こした。
特に、海外の金融機関やヘッジファンドにとっては、
これほど強い味方はなかった。
なぜならば、日本から無尽蔵に近い形で、
ゼロ金利の資金調達ができたからである。
その額は、5000億ドルとも6000億ドルとも言われる。
いわばカジノ経済の胴元に、
日本のゼロ金利資金が、際限なく持ち込まれたようなものである。
海外の大手銀行、ヘッジファンド、エクイティ・ファンドなどは、
ジャパンマネーを元手にして、レバレッジ投資を繰り返した。
国際決済銀行によれば、
その額は370兆ドルに膨れ上がったという。
この結果、世界中が金余りになった。
(以上、引用)
私は、以前、こう書きました。
昔だったら、「超」低金利政策などの「金融緩和政策」を行えば、
景気浮揚、あるいは「バブル景気に近い状態」になったかもしれません。
しかし、これは、昔の教科書に書いてある政策です。
マネーに国境のない現代において、こうした政策を行うと、どうなるか。
日本国内に資金需要がなければ、「膨張したマネー」は外国に向かいます。
つまり、日本国内は変化なしで、外国の「ある国」は、バブル景気に近い状態となります。
書評 book review 2004 8 3
書名 「黒いホワイトハウス」 今なお消えぬケネディ家の呪い
著者 浜田和幸 祥伝社
この本は、マスコミでは取り上げない、アメリカ政治の裏側を取り扱った本です。
穏健派の私には、とても、ここまで書けませんが、
ともかく、退屈しないで、最後まで読める本です。
アメリカに詳しい著者が、あえて、日本人のために書いた本と言えます。