マーケティング 2010 2 28
書名 日本「半導体」敗戦
著者 湯之上 隆 光文社ペーパーバックス
かつて、日本の半導体産業は世界市場で5割以上のシェアを獲得し、
自動車産業と並ぶ日本の基幹産業だった。
しかし、現在、日本の半導体産業は、
エルピーダメモリ1社を残してDRAMから撤退した。
そのエルピーダメモリも、2009年6月、産業再生法の認定を受け、
公的資金の注入が決まった。
1980年代半ばに世界を制した技術と品質は、
いまや不況のたびに膨大な赤字を生み出す元凶と化した。
(以上、この本の紹介文から)
なぜ、こんなことになってしまったのか。
著者は、こう指摘します。
「日本の半導体産業は、過剰技術、過剰品質、過剰性能という病にかかっている」。
経済に国境がない現代において、あるいは国際競争の中では、
世界最高の技術で世界最高の製品を作っても、価格は普及品と同じになります。
これでは、好景気の時も赤字、不況の時は公的資金の注入となります。
ポルシェ911という自動車は、運動性能や品質において、
世界最高の自動車といえるでしょう。
しかし、ポルシェ911を毎年100万台生産していると、
「好景気の時も赤字、不況の時は公的資金の注入」となるでしょう。
パソコン向けのDRAMを25年保証のレベルで生産したら、どうなるか。
そもそも、パソコンは、25年も使い続けるものなのか。
普通、パソコンは、5年で買い替え、早い人で3年で買い替えをするでしょう。
だから、パソコン向けのDRAMは、5年保証レベルで十分でしょう。
日本の半導体産業に欠けているものは、何か。
それは、マーケティングでしょう。
日本の半導体産業が全盛だった時代は、
おそらく、汎用コンピューターが全盛だった時代だと思います。
その後、ミニコンが全盛だった時代、
そして、パソコンが全盛である時代へと変わってきています。
史上最強の動物だった恐竜が、なぜ滅びたか。
地球が温暖だった時代は、食料が豊富にあり、飢える心配はなかった。
しかし、地球が寒冷化してくると、食料が不足し、恐竜は、飢えに苦しむ結果となった。
恐竜に、「寒くなったから、ダイエットして、やせろ」と言っても、
それは、無理な相談でしょう。
しかし、会社は変われる。
会社は、環境の変化に合わせて、自分を変えることができる。