枯れた技術 2010 5 23
書名 「今のロシア」がわかる本
著者 畔蒜 泰助 三笠書房
「枯れた」という言葉を聞いて、
どんなイメージが出てくるでしょうか。
たいていは、悪いイメージでしょう。
しかし、この言葉が、技術と結びつくと、
良いイメージとなります。
「枯れた技術」とは、問題点が出尽くしたという意味です。
この本では、ロシアの宇宙技術について、
週刊文春で対談した宇宙飛行士の野口聡一氏の話が出てきます。
野口氏は、
「(宇宙ステーションで)もっとロシア側を見ておけばよかった」と言います。
「アメリカの技術は最先端テクノロジーを使った、いわばF1みたいな感じ。
ロシアはポンコツを大事に大事に使う感覚がある。
F1は、ちょっとした故障で全く走らなかったりするじゃないですか。
でも、ロシアのほうは古い、枯れた技術なんだけれど、
よく考えられていて、しょっちゅう故障しているけれど、
危機的な状況にならずに、ちょこっと直せば使えるのです。」
「宇宙船の中には気圧計があるけれど、
アメリカ製はデジタル表示で、
ロシアのものは大きな針が回っているメーター式。
しかし、面白いことにロシアのアナログ計のほうが正確。」
(以上、引用 週刊文春は2007年5月17日号)
日本も、アメリカのことを笑えない。
アメリカの失敗は、日本の失敗でもあります。
日本だって、何でもかんでも常に最新でハイテク化を図ろうとしています。
その結果、原因がわからない故障が発生する。
ロシアには、日本にない技術、日本に欠けている技術があると思います。
日本とロシアの技術交流も必要でしょう。
さて、この本には、その他にも興味深い文章があります。
いくつか、目次から取り上げましょう。
「なぜプーチンはブッシュをかばい続けたのか?」
「米露対決の火種『ミサイル防衛システム配備問題』」
「歩み寄るプーチン、仲介に乗り出す父ブッシュ」
この本には、たいていの日本人が知らない国際情勢があります。