アルミニウム業界 2011 7 23

 電力と産業を考える上で、
日本のアルミニウム業界がたどった道のりは、大いに参考になります。
以下の「電力と産業 2011 7 2」を再掲示します。

電力と産業 2011 7 2
 また、昔話をしましょう。
私の記憶が正しければ、今から数十年前の話です。
 「今から数十年前」というと、日本企業の黄金時代だったと思います。
外国からは、「日本企業は、世界最強である。
日本式の経営はすばらしい」と、
次々に、称賛されていた時代だったのです。
 ところが、その黄金時代でも、
日本企業の一部には、衰退している分野があったのです。
それは、アルミニウム業界です。
アルミニウムは、「電気の塊」と言われることがあります。
つまり、アルミニウムを作るには、大量の電力が必要です。
 日本は、外国に比べ電力料金が高く、
国内でアルミニウム精錬は経営的に困難で、
次々と生産拠点が海外に移ったのです。
(オイルショック後の電力料金の高騰が原因と言われます)
 もちろん、日本において、アルミニウム業界が「絶滅」したわけではありません。
唯一、一社だけ残っています。
日本国内において、原石(ボーキサイト)から製品まで一貫生産を行っているのは、
日本軽金属のみとなりました。
日本軽金属の場合は、自前の「水力発電所」を保有し、
「自家発電」をしているので、何とか国内生産を維持しています。
 産業にとって、電力は非常に重要です。
設備投資(工場)を考える上で、最も重視する要素です。
 最近、電力供給の不安がニュースになります。
「大企業どころか、中小企業までも海外移転し、
日本企業は、日本国内において、絶滅危惧種になる。
アルミニウム業界で起きたことは、日本企業の未来を予見するものだった」
 そんな事態が起きないように、政府及び地方自治体は、
電力供給の安定性に対して最大の支援をすべきです。

電力供給 2011 6 26
 普通の人が想定する「停電」とは、
数分以上の停電でしょうか。
 そういうわけで、数秒程度の停電は、
「問題ないだろう」と考えてしまうかもしれません。
 ところが、家庭的には問題なくても、
ハイテク産業にとっては、重大な問題となります。
 数秒どころか、0.1秒の停電や電圧低下でも致命的です。
たとえば、2010年12月に愛知県などで発生した電圧低下では、
わずか0.07秒だったにもかかわらず、
東芝の工場などハイテク工場が一時的に操業停止になってしまったのです。
(東芝は、これで100億円程度の損失を出したと聞いたことがあります)
 このように、瞬間的な停電や電圧低下でも、
ハイテク機器には、大きなダメージを与えるのです。
 家庭においては、あるいは文科系の人は、
瞬間的な停電や電圧低下を軽く考えているでしょうが、
ハイテク産業が集積する日本においては、重大な問題です。
 日本の大企業は、国際競争力を考えれば、
工場を海外に移転した方が、有利です。
いや、中小企業も、工場を海外移転させた方が有利でしょう。
 それでも、海外移転しなかったのは、なぜか。
それは、海外では、電力供給に安定性が欠けていたからです。
 こうしたことを、民主党の政治家は、どう考えているのか。
最近の言動からすると、民主党の目標は、日本を、
映画「ALWAYS三丁目の夕日」の時代に戻したいと願望しているように思えます。
みんな質素で貧しく、ハイテクではなく、ローテクにしましょう。
それが、民主党の深層心理の願望でしょう。



























































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